#author("2020-04-22T09:54:26+09:00","default:CNSLNR","CNSLNR")
#author("2020-04-25T10:02:34+09:00","default:CNSLNR","CNSLNR")
&aname(ResearchActivity);
* 有限量子多体系の自己組織化現象 [#k293f36c]
原子核内では、陽子と中性子は高速で運動しており、その動的な運動により新しい秩序が生まれます。
そのような新しい秩序は、従来の原子核構造の理解を大きくかえる可能性があります。

**変形共存現象の研究 [#o2788848]
#ref(./ShapeCoexist.png,around,20%)|
Zr同位体では球形から突然変形状態になる量子相転移が起こっていると考えられ、注目を集めています。
また、中性子過剰32Mg近傍核では、突然に球形から変形な状態になったと考えられています。
最近の実験研究で、これらの領域では、球形と変形状態が準安定的に混在した、変形共存現象であることが
分かってきました。この変形共存や、その生成機構を明らかにしていきます。|


Zr同位体の基底状態は球形から突然変形状態になる量子相転移が起こっていると考えられ、注目を集めています。
また、中性子過剰32Mg近傍核でも同じく、突然に基底状態が球形から変形な状態になり、その原因が未解明でした。
さらに最近の実験研究で、これらの領域では基底状態と異なる形をした励起状態が準安定的に混在した、
変形共存現象であることが分かってきました。この変形共存や、その生成機構を明らかにしていきます。|
**対相関の研究 [#qab663af]
原子核内では、2個の核子がスピン・パリティ0+のペアーを組み、相関を持ちながら運動しています。
このような相関のことを対相関といい、原子核を理解するために無くてはならない要素です。
例えば、多くの核種において原子核表面で超流動状態が実現していることが知られており、この現象も対相関によってもたらされていることが分かっています。
しかしながら、自然界に存在しない原子核中において、この対相関の性質がどのように変化していくのかはほとんど分かっていないのが現状です。
原子核内では、2個の核子がスピン・パリティ0+のペアーを組み、超流動状態が実現しています。
このようなペアーを作る相互作用を対相関と呼びます。この対相関の密度依存性を、不安定核で
調べることで、中性子星の内部の記述する方程式の解明に挑んでいます。

陽子過剰核側では、2陽子崩壊が発見され、α、β、γ崩壊に次ぐ第4の放射線として注目されています。上記対相関により弱く束縛された2陽子対の性質
を明らかにするために、2陽子崩壊核45Fe、48Ni原子核の質量を、原子核センターで開発した手法で測定します。
~
中性子過剰においては、金属超伝導を記述するBCS理論に基づく通常の対相関に代わって、ボーズアインシュタイン凝縮的な対相関が出現することが理論的に予測されています。
類似の現象は近年冷却原子系において発見され、現在注目を集めています。我々は異なるエネルギー階層間での同現象のユニバーサリティを検証することを目指し、研究を進めています。
このような相関は、最近発見された2陽子崩壊の機構解明に繋がります。2陽子崩壊はα、β、γ崩壊に次ぐ
第4の放射線として注目されています。陽子崩壊核45Fe、48Ni原子核の質量を、原子核センターで開発した手法で測定します。



**極限回転状態の生成 [#b1f4d520]
#ref(./LNR_defomation.png,around,25%)|
原子核に膨大な角運動量を加えていくと、遂には遠心力がまさって核分裂を起こすと考えられます。その様な状態は、我々が知る核力と、角運動量による力が拮抗する領域であり、したがって、極限状態化での核力を研究することになります。
原子核に膨大な角運動量を加えていくと、遂には遠心力がまさって核分裂を起こすと考えられます。その様な状態は、
我々が知る核力と、角運動量による力が拮抗する領域であり、したがって、極限状態化での核力を研究することになります。

その様な極限状態として、原子核が大きくラグビーボール型に引き伸ばされて高速回転している、ハイパー変形状態が1980年代に予想されましたが、まだ発見には至っていません。反応によって例え生成されたとしても、その生成率はごく小さく、他の状態から分別することができないためと考えられます。
その様な極限状態として、原子核が大きくラグビーボール型に引き伸ばされて高速回転している、ハイパー変形状態が
1980年代に予想されましたが、まだ発見には至っていません。反応によって例え生成されたとしても、その生成率は
ごく小さく、他の状態から分別することができないためと考えられます。

そこで、我々は、効率よく回転状態を作るために、半減期31年で、16+という高スピンを持ち回りつづける178m2Hf状態を人工的に大量に作り、それを標的とすることで、より高速回転状態を選択的に生成し、ハイパー変形状態探索を目指すことにしました。理研AVFサイクロトロンから供給される大強度4HeビームをYb標的に8時間照射し、178m2Hfを0.01 ng生成することに成功しました。標的、およびビームタイムを長くすれば、実験に使えるマクロな量になることは確実です。さらに究極的には、将来には究極の変形状態ともいえるトーラス型(ドーナツ型)原子核の生成を目指します。|
そこで、我々は、効率よく回転状態を作るために、半減期31年で、16+という高スピンを持ち回りつづける178m2Hf状態を
人工的に大量に作り、それを標的とすることで、より高速回転状態を選択的に生成し、ハイパー変形状態探索を目指す
ことにしました。理研AVFサイクロトロンから供給される大強度4HeビームをYb標的に8時間照射し、178m2Hfを0.01 ng
生成することに成功しました。標的、およびビームタイムを長くすれば、実験に使えるマクロな量になることは確実です。
さらに究極的には、将来には究極の変形状態ともいえるトーラス型(ドーナツ型)原子核の生成を目指します。|


*新しい核反応測定法の開発 [#vbf6047f]
**鉄よりも重い元素起源の研究 [#b1769d5e]
鉄よりも重い重元素は、r過程とよばれる中性子捕獲とbeta崩壊を爆発的に繰り返して、一気にウランまで合成すると考えられています。長年超新星爆発がその天体であると考えられてきましたが、現在の核データを元に計算すると、必要な中性子密度がどうしても不足して行き詰ってました。中性子連星合体が、代わりに注目されて始めた時、重力波によるこの中性子連星合体が観測され、俄然盛り上がっています。一方で、中性子連星合体は、宇宙初期には起こりなえないにもかかわらず、初期天体でr過程生成での残留核が観測されるなど、未だ状況は混とんとしており、核データの重要性が増しています。下記、高レベル放射性廃棄物の核変換データ取得で行っている研究では、中性子捕獲反応断面積が評価地に比べて、100倍異なることもあることを示しました。つまり、必要な反応が進むのに必要な中性子密度が100倍違うこともありえることを示し、天体の環境を実験室で制限かけることができます。
2019年からr過程が生じた環境を微視的に決定する、130Snの中性子捕獲反応断面積評価実験プロジェクトを開始しました。
2020-21年に実験することを目指しています。

**高レベル放射性廃棄物の低減化を目指した核変換データの取得 [#ua821731]
#ref(./LNR_NuclearTransmutation.png,around,20%)
原子力発電などで生じる高レベル放射性廃棄物の処理・処分の問題は、日本のみならず世界的な問題です。
この問題を根本的に解決できる有力な方法として、長寿命放射性核種を短寿命もしくは安定な核種に変換させる方法(核変換)があります。
この技術の確立を目指して、我々は、その基盤を支える核変換反応のデータを取得しています。

核変換で生成される核種は、反応を起こす粒子の種類やエネルギーに大きく依存します。したがって、多種多様な核変換データを取得し、効率的な核変換法を模索する必要があります。
理化学研究所のRIビームファクトリー(RIBF)では、長寿命核種をビームとして生成することができます。
さらに、我々が開発したRIビーム減速・収束装置「OEDO」の導入により、光速の約10%から70%までの幅広いエネルギー領域でビームを制御できるようになりました。
これにより、今後、多種多様な核変換データを取得していく予定です。
2017年には、長寿命核分裂片79Seの中性子捕獲反応評価実験、107Pd, 93Zrの陽子誘起反応断面積を測定しました。

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軽い不安定核の低エネルギー核反応メカニズムの解明 
如何に未知の原子核を創造するか。中性子ドリップラインは、核力が中性子を束縛する限界であり、その限界を決定することは、我々の核力の理解の検証となります。しかし、残念ながら中間エネルギーの入射核破砕反応、核分裂反応でアクセスできる領域は限られれます。これらは10^-21秒単位の早い反応です。一方、それよりも3桁以上遅い多段階反応である核融合反応、多核子移行反応では、過剰中性子、大変形度、弱束縛性から、新しい原子核を創造する方法があるかもしれません。中性子過剰核での遅い反応を研究します。-->

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