東京大学 原子核科学研究センター(CNS)では下記の日程で一般公開を行います。
当日はCNSのメンバーが最新の研究成果や最先端の研究設備についてやさしく
説明します。皆様のご来場をお待ちしております。

2005年4月23日 (土)
時間9:30-16:30
場所東京大学 原子核科学研究センタ- 和光分室 (地図)
(理化学研究所 和光研究所 構内)
入場無料、雨天決行

当日は 理化学研究所 和光研究所の一般公開 も行われます。併せてお楽しみ下さい。
問合せ先: ideguchi@cns.s.u-tokyo.ac.jp

こちらから ポスターをご覧になれます。
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宇宙の謎を解き明かす天体核物理学

宇宙にまつわる諸現象において、原子核反応は不可欠の働きをしています。 私たちは、加速器から得られる安定核ビームおよび短寿命核ビームを用いて、 星の進化、新星や超新星爆発(図)、ビッグバン直後の原始宇宙創生などで 起こる核反応を、実験室で直接再現することにより、それらの現象の メカニズムを明らかにしようとしています。 それによって、宇宙に存在する様々な元素がどうやって生み出されたのか、 その起源を知る事も可能となります。 このような研究実験は、CNSが製作した、世界で最初の本格的な 飛行分離型低エネルギーRIビーム生成分離機(CRIB) を使うことで可能となったものです。

クォークとグルーオンが飛びかうビッグバン直後の世界を探索

私たちの周りにある物質は、宇宙の始まりであるビックバンからいろいろな 過程を経て作られたものです。 その物質を構成する原子をどんどん細かくしていくと、最終的には、 ”クォーク”と呼ばれる、最小単位の粒子に到達すると現在考えられています。 クォークは原子核の内部にグルーオンという糊のような役割を果たす粒子 とともに原子核の中に閉じ込められていて、一つの自由な粒子として 通常では取り出すことはできません。 しかし、温度が一兆度に達するような環境では、クォークやグルーオンが 自由に振る舞う事が示唆されています。 この状況は、ビッグバンによる宇宙開闢から10万分の一秒後の世界に対応します。 私たちの実験では、金のような重い原子核同士をほぼ光速で衝突させ 高温高密度状態を作り出し、クォークやグルーオンが 自由に動き回る世界の性質を研究しています。

光を見ると原子核の形がわかる!

原子の中心にある原子核が陽子と中性子からできていることがわかったことは、20 世紀の大きな科学の発展のひとつです。しかし、次の疑問として...どんな原子核 が存在するの?原子核の形は?と、まだまだわからないことだらけです。 わたしたち は理化学研究所の加速器施設を使って身の回りにない様々な原子核を作り、その原子 核を光らせ、その光を測ることで、原子核の形を調べています。原子核の調べ方を 実験装置などを紹介しながら、やさしく解説します。

スピンで探る原子核-小さな磁石の大きな世界-

リンゴを持った手を離せばリンゴは下に落ちます。この力は重力と呼ばれていま す。同じように 私たち自身を作っている原子核の世界では、強い力(核力)と呼 ばれる力が働いています。しかし、力とは一体何でしょうか?物理の世界では、 普段は気に留めることもない「力」というもの自体も研究の対象になります。原 子核の世界で働く力は、「スピン」という量に依存することが分かっています。 このため、スピンを用いればこの力について何かが分かるかもしれません。
また、リンゴの形やその中身がどうなっているか知りたければ、触ったり切った りしてみれば良いでしょう。原子核の場合も同様で、例えば原子核同士をぶつけ てやればその「構造」が分かります。この時に原子核同士で働く力もまたスピン に依存するので、原子核構造の研究にも、これをうまく使わない手はありません。
では「スピン」とは何でしょう?それをどのように使えば何が分かるのでしょう? 一般公開では、 実際の装置や実験を紹介しながらこれらの疑問にお答えしたい と思います。

原子核物理を開拓する加速器とイオン源

加速器は原子核物理の研究にとって不可欠な実験装置です。 今回の展示では加速器の構成要素の一部である「イオン源」を取り上げました。 現在研究中の「荷電増殖型ECRイオン源」を重点的にご紹介します。 会場では説明パネル、イオン源実物などをご覧頂く予定です。