東京大学原子核科学研究センター
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大学院教育

東京大学原子核科学研究センター (CNS) では、原子核からクォークに至るハドロン多体系の物理を研究しています。加速器技術の発展に伴い、我々は従来到達し得なかった領域に踏み込む道具をこの手に得ることになりました。CNS と強い研究連携体制にある理化学研究所の RI ビームファクトリー、とりわけ東大CNSの建設した、SHARAQ、CRIBという2つの大型実験装置はその代表であり、さらに低速エキゾティックRIビームを生み出すためのOEDO計画が進行中です。 CNS は 7 人の教員(教授 1, 准教授 3, 講師 1, 助教 2)と大学院生・ポスドクを中心としたメンバーで、これらの巨大加速器施設における最先端研究を推進しています。各研究室の紹介はこちらをご覧ください。また、大学院生への進学を希望される方は理学系研究科の進学ガイダンス、および入学案内も合わせてご確認ください。

受け入れ研究室リスト

酒見研究室
基本対称性
反物質消失機構、暗黒物質の実体など、宇宙太古の物質創成の歴史を、基本対称性の破れを軸足に、解明して行きます。 極端な構造を持つ重い原子核では、未知の対称性や相互作用のシグナルが量子増幅され、 微かな基本対称性の破れを調べる顕微鏡の役割を果たします。加速器とレーザーを駆使して、 光格子原子干渉計を用いた未知素粒子の物性を探る量子センシング技術を開拓しています。現在、
  • 光格子干渉計によるフランシウム永久電気双極子能率(EDM)探索
  • 原子核媒質中における弱い相互作用の伝搬機構(anapole moment)
  • レーザー冷却極性分子(Fr-Sr)生成の開発
を進めています。標準理論を超える新しい現象を探索するとともに、量子多体系における基本対称性破れの媒質効果や、 その時間発展など、巨視的対称性破れの発現機構を極端な原子核を用いて一緒に探っていきましょう。
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酒見泰寛 教授
今井研究室
DONUTS

現在存在が確認されている原子核は3000個あり、理論では更に3000個存在すると言われています。 これらの原子核の殆どは放射性同位体で、強い相互作用では束縛しますが、弱い相互作用では 崩壊します。世界中で10を超えるこれら放射性同位体を研究する施設が稼動しており、熾烈な競争状態にあります。 我々は、世界でもユニークな実験設備である低速化装置OEDO+磁気分析器SHARAQのホスト研究室として、 世界中のユーザーと共に有限量子多体系での核子の自己組織化機構の解明を目指して、日々研究を 推進しています。

特に、変形共存、エキゾチック変形、BEC-BCSクロスオーバー現象といった、近年明らかになってきた新奇 現象を実験的に調べています。また、中性子過剰な原子核の中性子捕獲反応断面積を評価することで、 重い元素の起源天体について微視的に調べています。これら研究を可能にする、γ線検出器、スト リップ型のシリコン半導体検出器を用いた反跳粒子検出器、薄型ダイヤモンド検出器の開発も進めています。

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今井伸明 准教授

原子核はたかだか100個程度の核子からなる少数粒子系で、陽子・中性子の組み合わせで生じる様々な様態が研究対象になってきました。 有限のシステムなので、表面や形といった巨視的な属性があります。 原子核を原子核散乱を通して外から「突っつく」ことで回転・振動運動を引き起こすことができます。 この現象は原子核集団励起と呼ばれ、原子核の堅さをはじめとした基本的な性質を反映します。 エキゾチック核反応グループでは「突っつき」に対する原子核の応答を調べることで原子核の新しい様相、集団性を生み出す相互作用の研究を進めています。

RIBF の不安定核ビームによって、散乱実験に用いられてこなかったアンバランスな原子核を対象にすることができるようになりました。 これらの原子核について、従来からあるスピン・アイソスピン応答の研究を行うのが研究室の主軸です。 このために、PANDORA をはじめとした中性子検出器の開発を進めました。 時に、スピン異性体など、新しい不安定核ビームの開発を行います。 一方で、不安定核ビームで別の原子核を「突っつく」ことにより、新しい共鳴状態を探索します。 大きな角運動量をもったビームを使えば、高スピン状態が効率よく作れるかもしれない、などの素朴なアイデアを実地で試せるような恵まれた時代を実験核物理学は迎えています。

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矢向謙太郎 准教授
郡司研究室
クオーク物理
ビッグバン直後の初期宇宙に存在した、超高温クォーク物質(クォーク・グルーオンプラズマ)を実験室で生成し、その性質を探ることで、初期宇宙の物質状態やQCD相転移(クォークの閉じ込め・カイラル対称性の破れとハドロンの質量獲得)といった物質創生の謎を解明していきます。 この超高温クォーク物質を実験的に検証する方法が高エネルギー重イオン衝突実験です。欧州素粒子原子核研究所(CERN) の大型ハドロン加速器(LHC) を用いたALICE 実験を推進しています。
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郡司卓 准教授
山口研究室
宇宙核物理

宇宙において星が輝き、超新星などの爆発現象が起こるメカニズムは、原子の中の小さな原子核の働きによって説明できます。 大きな宇宙に浮かぶ天体と、微小な原子核を結びつける研究分野が「宇宙核物理」です。 我々の身の周りにある元素が宇宙の歴史の中でどのように合成されたか、また宇宙の星がどのように燃焼し、時に爆発するか、という疑問に答えるには、宇宙核物理の力が必要です。

山口研究室/ 宇宙核物理グループでは、爆発天体温度の不安定核ビームを生成できるユニークな装置「CRIB」を使って、 世界の研究者と共に、宇宙で最初の元素合成、ビッグバン元素合成から、 宇宙で頻繁に起こる爆発現象、X線バーストに至るまで、様々な宇宙の謎の解明に取り組んでいます。

世界的にも宇宙核物理は核物理研究の一大テーマとなっており、山口研究室は日本に軸を置きながら、 きわめて国際的な研究環境の中で、ユニークな研究を推進しています。

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山口英斉 講師
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北村徳隆 助教
原子核は不思議に満ちあふれた系です。例えば、原子核の陽子数・中性子数を変えていったとき、思いもよらない核構造変化が突如として引き起こされることがあります。このような現象は原子核の有限量子多体系としての奇妙な側面の代表例です。実験屋としての我々のミッションは、RIBFをはじめとする不安定核実験施設の能力を最大限に活用し、陽子・中性子のバランスを自在に操りながら原子核の構造変化をつぶさに調べ上げ、量子多体現象の微視的起源を解明することです。この不安定核物理の黄金期において、新たな検出器・データ収集システムの開発を進め、より難易度の高い測定に挑むことで原子核実験の最先端を切り拓きます。
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長濱弘季 助教
基本的対称性の破れの多体効果・増幅効果は、DNAのらせん構造は右巻きのみ存在していることや、生物がひつようとするアミノ酸がL型のみであることなど、生命の期限にも関わる可能性があります。 その解明の鍵となるのは、重元素の原子核媒質中で対称性の破れが増幅する効果だと考えています。 重い中性原子と重いイオンを同一空間上に捕獲する技術を確立し、それらを同時に精密量子測定することによってレプトンとクォークの基本的対称性の破れの期限に迫り、自然界において素粒子から原子、複合粒子にいたる過程で対称性の破れが発現する仕組みを紐解いていきます。

大学院進学ガイダンス

理研RIビームファクトリー原子核科学研究センター見学ツアー

最先端の原子核物理研究の拠点である理化学研究所RIビームファクトリーや原子核科学研究センターの見学・説明会を行います。
2025年 5月10日(土) 13時頃~
理化学研究所 (埼玉県和光市広沢2-1)
参加登録フォーム

物理学専攻 入試ガイダンス(オンライン)

2025年 5月31日(土) 10:00-15:30
原子核科学研究センターの属するA2サブコースの紹介が含まれます。
詳細は、近日中に物理学専攻のページに掲載されます。うち、13:30-15:30 には、原子核科学研究センター進学相談会をハイブリッドにて開催します。
zoom接続情報など詳細は後日追記します。

物理学専攻A2サブコース合同ガイダンス

2025年 6月上旬に開催します。詳細は決定次第追記します。

研究所ガイダンス

2025年 6月13日(金) 16:30-18:00 理学部1号館233
原子核科学研究センターの各研究室の紹介を含むガイダンスを行います。

CNS和光施設/理化学研究所RIBF見学会

2025年 6月14日(土) 午後に進学生向けの和光施設見学会を行う予定です。
見学は随時受け付けています。教員にご連絡ください。



ガイダンス担当:郡司(gunji@cns.s.u-tokyo.ac.jp)