東京大学原子核科学研究センター
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原子核実験研究は、自らの独創的なアイデアを元に実験計画の立ち上げから遂行まで、すべてを主体的に行うことができるのも魅力のひとつです。
物理実験は主に国内外の加速器施設で行われますが、画期的なアイデアをもとに独自に開発した計測システムや検出器を組み合わせることで、常に新しい切り口で課題に挑んでいきます。

CNSでは、世界有数の加速器施設である理化学研究所RIビームファクトリー内にある独自のビームラインをはじめ、新しい測定技術や加速器技術を開発しています。

基盤設備

 加速器開発  

加速器技術では新しいイオン源やビームの品質向上のための診断系の開発を行い、安定かつ 大強度のイオン源を実現するため努力を重ねています。また、低エネルギー重イオンビーム 輸送用のビーム診断系の開発や、輸送効率向上のための光学系の整備を進めています。


 低エネルギー不安定核ビーム生成・分離装置 CRIB  

CRIB(CNS RI-Beam separator)は、CNSが基幹装置の1つとして開発した 不安定核(RI)ビームの生成・分離装置です。 爆発天体の温度や原子核の励起エネルギーに対応する、低エネルギー領域の RIビームを生成可能なユニークな装置で、 宇宙における原子核の反応や原子核の特殊な構造研究に最適です。 CNSのHyper-ECRイオン源から供給される高強度金属イオンビームを、 液体窒素冷却標的により不安定核に変換し、電磁石とウィーンフィルター による高純度化を経て、大強度のRIビームを高効率で生成することができます。 CRIBではCNSの宇宙核物理グループを中心に、国際的な研究グループを 形成し、活発に研究を行っています。

(山口研究室)


 OEDO-SHARAQ ビームライン  

理化学研究所RIビームファクトリー(RIBF) にはRI ビームの反応を分析するスペクトロメータがいくつかありますが、2009年 に完成したCNS の基幹装置SHARAQ スペクトロメータは、その高い分析能力(運動量分解能: 1/15000)が特長です。 高分解能ビームラインと組み合わせて使用することにより、高分解能 の質量欠損スペクトルが得られます。 テトラ中性子状態の高精度分光などが行われています。 実験の幅を広げるため、RI ビームの品質を落とさずエネルギーを下げるOEDO プロジェクト にも着手し、2017年3月に完成しました。 原子核科学研究センターでは、世界初の減速方法を取り入れたRI ビーム低エネルギー化システム OEDO の開発を進めています。OEDO 装置は、エネルギー減衰板とRF 電場のビーム収束作用 を組み合わせることで、RI ビームの高い減速効率と収束性の両立を実現します。 下図は、 世界各国のRI ビーム施設で供給できるRI ビームの質量とエネルギーを示したものです。 OEDO が世界的にユニークなビームを供給できることが分かります。 2017年秋には長寿命 核分裂生成片(LLFP)ビームをOEDO を使って低エネルギー化し核融合反応等の核変換率測定 実験を行いました。 放射性廃棄物の安全な処理法が模索されていますが、約10 万年以上の 非常に長い半減期を持つLLFP処理方法は未だ確立していません。 LLFPを効率良く安定原子核 に変換する核反応があれば、これらの解決策の有力候補になります。

今井研究室矢向研究室

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先端検出器