東京大学原子核科学研究センター
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核構造研究

核図表における「安定の島」(引用:wikipedia)
融合反応で生成した原子核から放出される粒子をとらえるための
通称「モザイク検出器」を開発。
2025年理学部カレンダーの写真に選ばれました。

エキゾチック変形

変形した原子核のイメージ.
(引用:Frank, A., Jolie, J., Isacker, P.V. (2019). Symmetry in Nuclear Physics: The Shell Model. In: Symmetries in Atomic Nuclei. Springer Tracts in Modern Physics, vol 230. Springer, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-030-21931-4_2)

集団運動

この原子核を原子核散乱を通して「突っつく」ことで回転・振動運動を引き起こすことが できます。この現象は原子核集団励起と呼ばれ、原子核の堅さをはじめとした基本的な性質 を反映するため、原子核物理学の中心的な研究対象になってきました。 エキゾチック核反応グループではRIBFの不安定核ビームなどを用いて、原子核の新しい様相 と集団性を生み出す相互作用の研究を進めます。 (矢向研究室)

 二重ガモ・フテラー巨大共鳴の探索  

テトラ中性子

恒星の最後の姿である中性子星はその名の通り、主に中性子から構成される「超巨大原子核」ともいえる天体です。地球上の物質では考えられない、想像を絶する極限現象が起こっています。地球上には存在しない、4つの中性子のみからなる原子番号“0”の原子核「テトラ中性子」を人工的に作り出すことで、中性子星の内部や、中性子の間に働く核力の奇妙な性質を知ることができます。我々のグループでは二重交換反応 (8He + 4He → 8Be + 4n)という手法を用いて、4中性子状態を“そっと”(核子の反跳無しで) 生成することに成功しました。この実験はCNSが主体となって建設したSHARAQ 磁気分析装置が重要な役割を担いました。その結果、4中性子の生成閾値近傍に共鳴的な事象を観測しました。従来の理論では説明できないこの共鳴は、中性子系の未知な多体効果を示唆しています。テトラ中性子の研究は「多中性子系の原子核物理学」という新たな研究領域を拓くものとしてさらなる進展が期待されます。

我々の実験結果を受けて2023年、4中性子の生成効率が高い「ノックアウト反応(8He + p → p + 4He + 4n)」による測定が理研のSAMURAI磁気分析装置で行われ,4n核の存在を高統計精度で確認し,半世紀に及ぶ「強く相関する4中性子」の謎を解決しました。さらに同年には、中性子3系に関する研究も東北大学 三木准教授らとの共同研究によってSHARAQを使って行われ、新たな知見を生み出し続けています。世界で初めて4中性子系の実験的知見を示したことで、CNSの下浦享東京大学名誉教授(現理化学研究所開拓本部 研究員)が「4中性子状態の実験的研究」の研究により仁科記念賞を授与されました。 (今井研究室旧下浦研究室)