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17F+58Ni 反応の「完全運動学」測定

17F+58Ni 系における反応機構(ブレークアップ反応、融合反応等)の包括的な研究を行いました。 我々は、CRIBの17F不安定核(陽子ドリップライン近傍核)ビームと中国で 開発された「MITA」検出器系を使うことによって、 「完全運動学」測定に成功しました。 完全運動学測定の強力な粒子識別能力のおかげで、 この実験から全反応断面積がどのように構成されているか (準弾性散乱、ブレークアップ反応、融合反応) が明らかになりました。 クーロン障壁のエネルギー以下で、反応断面積の特殊な増加も見られました。 これは主に、 ブレークアップ反応 との結びつきが低いエネルギーでより重要となっていることを示している と考えられます。

クーロン障壁エネルギー以下での8B+208Pb 反応の増大の発見

8B は、ホウ素の同位体のうち最も軽く、非常に弱束縛 な原子核であるという、特別な原子核です。 我々は、8B+208Pb 系の反応機構を、 多様な反応が関わりあうと考えられる クーロン障壁 近傍のエネルギーにおいて研究しました。 この実験は、CRIBが誇る、クーロン障壁に相当するエネルギーの8Bビームと、 イタリアから輸送した EXPADES 検出器系を 組み合わせることによって実現しました。 光学模型理論による解析により、全反応断面積が導出されましたが、 類似の質量を持つ核と比較すると、弱束縛核 8Bの 反応の起こりやすさが顕著に増大 していることが明確に確認されました。 これは現在の標準的な反応理論では説明できない現象です。

X線バースト研究のための 30S+α 共鳴弾性散乱の初の測定

30S(α, p) 反応は、 銀河で最も頻繁に観測される熱核爆発現象、 「X線バースト」 において、重要な役割を担う反応です。 30S(α, p) 反応は、不安定核から不安定核への反応であり、 実験研究を行うことは、いまだに容易ではありません。 我々は、 30S 不安定核ビームと アクティブ標的システムを用いて、 30S核の α 共鳴弾性散乱 を 世界で初めて測定しました。 測定により、高温天体環境における核反応率を支配する、 原子核の 共鳴 の性質 を明らかにすることができました。 3つの共鳴が新たに観測され、それをもとに 30S(α, p) 反応率の再評価を行いました。 結果として、この反応はX線バーストの エネルギー生成率 25% 変え、 質量数 A=20-80 の核種存在量 30% も変化させうる重要反応であることが分かりました。

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