*SHARAQビームライン用 低圧動作型ドリフトチェンバーの開発 [#se7229a8]
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*概要 [#m4db65eb]
 現在CNSでは、理化学研究所のRI(Radioactive Isotope)ビ−厶ファクトリ−(RIBF)において、SHARAQスペクトロメ−タのを建設しています。SHARAQスペクトロメ−タは、ビー厶が持つ運動量を高分解能で測定が行うことが可能になります。そのためには、ビ−厶ラインにおいて、不安定核ビ−厶の入射角度を精度良く測定する検出器が必要です。このビームライン検出器として、低圧動作型多芯線ドリフトチェンバ−(Low-pressure Multi-wire Drift Chember,LP-MWDC)の開発を行っています。

 この検出器は、ビームがどのような軌道を描いたかをモニターするため、検出器を通過した位置を測定します。この検出器は、ビームの位置を高精度で測定するため、装置が低物質量化されていて、ディレイラインを用いた信号の読み出しが可能になっています。

-低物質量化について
 多重散乱は、ビームと物質とのクーロン相互作用によっておこります。したがって、多重散乱の大きさは、ビームが通過する物質量に比例します。多重散乱の影響を最小限に抑えて、ビームの入射角度を精度良く測定するために、検出器は低物質量化しました。

-ディレイラインを用いた信号の読み出しについて
 検出器には、ディレイラインを用いられてあります。ディレイラインの両端に現れる信号の信号の時間差から位置を出すことが出来ます。

*目標とする性能 [#d2e2bd59]
-角度分解能 1 mrad以下
-検出効率 95 %以上
-計数率 1 MHz程度

角度分解能は、検出器を低物質量化することで、多重散乱の影響を最小限に抑えることにより可能となります。検出効率は、一般的に高い感度を持つワイヤ−チェンバ−を用いることで実現できます。そして、測定するRIビ−厶は数 cm程度の拡がりを持つため、複数のワイヤ−で構成されている検出器では、1本あたりの計数率は、全体での計数率の1/10となる。このため、強い強度のビ−厶に耐えることが出来ると考えています。

*検出器の構成 [#i93243d2]

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 この検出器は、6層の面で構成されています。正面からカソード、アノード、カソードの3層で1組となっていて、これを90度回転した面が奧にあります。正面と奧のカソード面はストライプ状になっており、ディレイラインと接続してあります。カソード面では、ディレイラインを用いて信号を読み出します。内側のアノード面は、ポテンシャルワイヤーとアノードワイヤーが交互に並んでいます。ポテンシャルワイヤーは、電場を形成するために用いられます。アノードワイヤーは、信号を読み出すために用いられます。そして、読み出されたカソードとアノードの信号を用いて検出器を通過したビームの位置を測定することが出来ます。この検出器に用いられるガスは、イソブタンです。ガスの圧力は大気圧の1/10程度です。一般的に、高エネルギー実験や原子核実験で用いられているドリフトチェンバーでは、ガスの圧力は大気圧です。しかし、角度を精度良く測定を行う際に、多重散乱の影響を十分考慮しなくてはいけません。多重散乱の影響を最小限に抑えるため、ガスの圧力は低くしました。

*参考文献 [#h3ecfb67]
-A.Saito et al.: CNS Report. 2006 (2007) 67.


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