新代表挨拶 - 2021年3月 -


川畑貴裕 (大阪大学)

このたび、宇核連の代表を拝命することになった大阪大学の川畑と申します。
宇核連は、2008年に発足以来、天文学・宇宙科学・地球惑星物理学・素粒子物 理学・原子核物理学など多くの分野に跨がる学際領域である「宇宙核物理学」 における研究者間交流を図るために活動を行ってきました。これまで毎年開催 されてきた宇核連研究会や、隔年開催してきたOMEGシンポジウムの開催母体と なり、宇宙核物理分野の発展に大きく貢献してきたと思います。また、近年で は、JINA-CEEが中心となり設立した研究ネットワーク IReNA (International Research Network for Nuclear Astrophysics ) にも参加し、海外の宇宙核物 理コミュニティーとの連携も進めてまいりました。
これまで順調な発展を遂げてきた宇核連ではありましたが、COVID-19の流行に より2020年度は活動を停滞させざるを得ませんでした。今年度は、国際会議 はもとより、国内研究集会の開催もままならない状況が続きました。しかし、 その一方で、対面形式とオンライン形式を組み合わせたハイブリッド会議など、 このコロナ禍の状況に応じた研究交流のありかたも徐々に確立されてきたよう にも思います。
宇宙核物理分野の研究者間交流を図るという宇核連の重要な任務を遂行するた めに、まずは2020年度に開催できなかった宇核連研究会の再開からとりかかり たいと思っています。オンライン会議は参加者間のコミュニケーションを十分 に取りにくいという問題がある反面、遠隔地、とくに海外からの参加を Encourage しやすいという利点もあります。その利点を活かしつつ、IReNAとの 連携をさらに強めることで、新しい形の宇核連研究会を企画できたらと考えて います。また、かねてより検討されています、次世代を担う若手研究者をEncourage するための宇核連による表彰制度の設立を目指したいと思います。
経験不足ながら、日本の宇宙核物理学の発展に貢献したいと考えておりますの で、皆さまのご指導とご協力をお願いいたします。


新代表所信表明 - 2017年9月 -


梶野 敏貴  国立天文台/東大/北航大

 宇核連は、天文学・宇宙物理学・原子核物理学・素粒子物理学・隕石科学など相互に密接に関連しながら発展する 学際研究領域「宇宙核物理学」の 研究者間の交流を図るために、2008年に発足しました。以来、活動を継続・発展 させ、毎年開催される研究会では国際会議に匹敵する充実した質の高い議論が展開されるに至っています。宇核連に は、超新星1987Aの翌年1988年に日本で始まった国際会議OMEG(Origin of Matter and Evolution of Galaxies) や、1990年にWienで始まったNIC国際会議(Nuclei in the Cosmos)と同様に、広い学問分野から多くの研究者が 参加しており、まさしく学際領域研究の交流の場に相応しい活動を展開していると感じています。今日、OMEG会議 は宇核連を活動母体とし、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)のサポートを得て、アジア各国の持ちまわりで開催 される国際会議として独自の国際的な地位を築いたと言えます。 これらの国際研究活動のさらなる充実とともに、海外の宇宙核物理学コミュニティーとの連携をより一層深めたい と考えます。「宇宙核物理学」をさらに発展させるために、今後数年間は日本国内での活動をより充実させると同時 に、国際学界間の研究連携を図ること、我が国の学生や若い研究者が隣接する広い分野の研究者と積極的に交流する ことで互いに刺激を受けられるような場を多く設けること、の二つに力を注ぎたいと考えています。また、特に若い 世代を対象とした賞を授与できれば、次世代を担う若手研究者のより大きな励みになるのではないかと思います。微 力ながら日本の宇宙核物理学及びその関連分野の発展に寄与したいと考えます。皆様のご支援とご協力を心よりお願 い申し上げます。
宇宙核物理連絡協議会のこれから(pdfファイル):

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新代表所信表明 - 2015年3月 -


西村 俊二  理研・仁科加速器研究センター・先任研究員(宇核連代表)
宮武 宇也  高エネルギー 加速器研究機構/素粒子原子核研究所・教授(宇核連副代表)


現在、日本ではRCNP・CRIBに加え世界最高性能を持つ大型加速器施設 RIBF・J-PARCが本格的に稼働し、 研究機関・大学から宇宙核物理に関わる興味深い研究成果が出てきつつあります。 また、天体観測、重力波観測、京などの大型計算機を使った原子核理論、超新星爆発・中性子星合体などの 大規模計算も始まり、かつてない恵まれた時期を迎えつつあります。 宇宙核物理連絡協議会(宇核連)は、ワークショップの開催、メール・WEBページによる情報配信など 継続的に行ってきました。今年で8年目を迎えます。この学際的な宇宙核分野をさらに盛り上げていくためにも、 米国・JINA-CEEなどとの連携、情報配信の強化をし、次世代を担う若い人たちが自由な発想と活躍をできる場を 設けることが求められています。幾つかの具体的なWGを作り、戦略的かつコヒーレントな活動を目指していきます。 是非とも皆様の温かいご支援と協力の方よろしくお願いいたします。


宇宙核物理連絡協議会の発足にあたって - 2008年4月 -

宇都宮 弘章  甲南大学・教授 (宇核連初代代表)

宇宙の創生、構造、進化の研究は、宇宙物理、天体物理、素粒子物理、原子核物理、
惑星地球物理等の高度に専門的で総合的な学術的文化活動です。私達、原子核物理 分野の実験理論の専門家が中心となって、国際会議OMEG(2007年12月北海道大学) 期間中に意見交換会を行い、日本物理学会第53回年次大会(2008年3月近畿大学)に おいて宇宙核物理連絡協議会を発足させました。伝統的な名称である“天体核物理” に代わって“宇宙核物理”を名乗ったのは、中長期研究戦略を策定し、ボーダーレス の精神に基づき研究分野を再構築することによって、私達の研究を現代的な物理 (contemporary physics)として生まれ変わらせたいと強く願ったからです。また同時に、 宇宙を研究する国際的な学術コミュニテイーの一員として、他の研究分野と学術面で 相補的な友好関係を築きたいと願っております。 連絡協議会は、今後最も重要な活動として、年2回程度「研究戦略ワークショップ」等の 開催を通して、分野の中長期研究戦略を策定し分野の再構築を行う努力を続けて参ります。 つきましては 原子核物理分野のみならず広く隣接分野の皆様に、連絡協議会に参加し 共に分野の発展に尽くしていただきますよう、心からお願い申し上げます。