研究紹介

概要

近年の原子核物理実験技術の発展に伴い、原子核の研究はこれまでの安定核から不安定核へと、また低スピン状態から高スピン状態へと、大きくその研究領域が拡大してきました。そして、このような極端な条件下での原子核は、これまでの安定核には見られない特異な現象・状態がみられることがわかってきています。われわれの研究室では、インビームガンマ線分光という手法を用いた原子核の構造研究を通じて、有限多体量子系における性質について研究を行っています。 実験は下浦井手口研究室のメンバーだけでなく、理化学研究所、東京大学、立教大学、京都大学、東北大学、原子力開発機構など他研究室、研究所との合同で20名ほどの共同研究として行うことが多いです。実験は一年で2-5回程度、1-10日程度で行います。実験を行う場所は我々の研究室が所属する原子核センターがある理化学研究所で行うことが多いですが、そのほか、東北大学サイクロトロン、原子力研究機構(東海村)、フィンランドのユバスキラ大学など、研究の目的に合わせ、さまざまな施設での実験を行っています。

研究テーマ紹介

中間エネルギー核分光研究 (下浦研究室)

下浦研究室では、おもに中間エネルギーの不安定核ビームを用いた実験を通じて、中性子過剰核での核構造の研究を行っています。

  • 研究テーマ
    • 12Be第2 0+状態の寿命測定
    • 13Bの陽子一粒子状態の研究
    • 23Fの陽子一粒子状態の研究

低エネルギー核分光研究 (井手口研究室)

井手口研究室では、おもに低エネルギービームを用いた実験を通じ、原子核の高スピン状態の研究を行っています。

  • 研究テーマ
    • 107Cd近傍核における高スピン状態の研究 これまでに超変形状態が観測された108Cd近傍核では、いままでで最も変形した超変形状態が系統的に存在すると考えられています。この領域の高スピン研究によって、これまでで最も変形した原子核の探査を行いました。
    • 二次ビームを用いた中性子過剰核の高スピン状態の研究 従来の一次ビームを用いた核融合反応による高スピン研究では生成するのが困難な、中性子過剰核での高スピン核分光実験を、二次ビームを用いることで達成しました。
    • 36S近傍核の高スピン状態の研究 S同位体にも高スピン準位での超変形状態の発現が平均場計算などにより予想されていますが、まだ発見に至っていません。この軽い原子核領域での新たな超変形核の研究領域の開拓を目指し、実験を行っています。

検出器の開発

ガンマ線検出器アレイCNS-GRAPEの開発

我々の研究室では、大型ガンマ線検出器の開発を行っています。この装置は特に、不安定核ビームを用いた逆反応によるガンマ線核分光研究において、高分解能、高検出効率を達成するための装置として開発が進められています。 CNS-GRAPEに関する詳細は、こちらのページをご覧ください。

SHARAQスペクトロメータ開発

我々の研究室は、RIBFにおいて散乱粒子を高分解能で測定し、原子核の状態を鮮明に識別するための磁気分析装置SHARAQ の開発プロジェクトにも参加しています。SHARAQプロジェクトに関する詳細は、こちらのページをご覧ください。

その他検出器、実験装置開発

我々の研究室では、GRAPEやSHARAQといった大型検出器開発プロジェクトのほか、さまざまな検出器開発、運用を行っています。

  • SHARAQビームライン用 低圧動作型ドリフトチェンバーの開発 SHARAQビームラインで使用するための、低圧動作型多心線ドリフトチェンバーの開発を行っています。詳細
  • CdTeによるガンマ線検出器の開発 次世代ガンマ線検出器として期待されている、テルル化カドミウム(CdTe)検出器の開発を行っています。詳細
  • 蒸発・反跳荷電粒子検出器 Si-ball、Si-barrelの開発 核融合反応における蒸発粒子測定や、クーロン励起での反跳粒子検出器として、Si-barrelと呼ばれるシリコン半導体を用いた荷電粒子検出器を開発しています。詳細
  • 不安定核ビームを用いた反応実験のための液体標的の開発 不安定核実験において、逆反応による陽子・アルファ(非)弾性反応のための陽子・ヘリウム液体標的の開発を行っています。詳細

用語解説

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