2019
酒見研究室
基本対称性
反物質消失機構、暗黒物質の実体など、宇宙太古の物質創成の歴史を、基本対称性の破れを軸足に紐解いていきます。 重い原子核では、未知の対称性や相互作用のシグナルが量子増幅され、微かな基本対称性の破れを調べる顕微鏡の役割を果たします。 理化学研究所の加速器を用いて、多彩な重元素(極端な原子核)を生成するとともに、レーザー冷却技術を駆使してその量子状態を制御し、光格子原子干渉計を用いた未知素粒子の物性を探る量子センシング技術を開拓します。標準理論を超える新しい現象を探索し、基本対称性の破れがどのように 時間発展して、巨視的な非対称性が発現したのか、物質・反物質対称性の破れの謎の解明を目指しています。
郡司研究室
クォーク物理
ビッグバン直後の初期宇宙に存在した、超高温クォーク物質(クォーク・グルーオンプラズマ)を実験室で生成し、その性質を探ることで、初期宇宙の物質状態やQCD相転移(クォークの閉じ込め・カイラル対称性の破れとハドロンの質量獲得)といった物質創生の謎を解明していきます。 この超高温クォーク物質を実験的に検証する方法が高エネルギー重イオン衝突実験です。欧州素粒子原子核研究所(CERN) の大型ハドロン加速器(LHC) を用いたALICE 実験を推進しています。
矢向研究室
エキゾチック核反応
原子核には表面や形といった巨視的な属性があります。 この原子核を原子核散乱を通して「突っつく」ことで回転・振動運動を引き起こすことができます。 この現象は原子核集団励起と呼ばれ、原子核の堅さをはじめとした基本的な性質を反映するため、原子核物理学の中心的な研究対象になってきました。 エキゾチック核反応グループではRIBF の不安定核ビームなどを用いて、原子核の新しい様相と集団性を生み出す相互作用の研究を進めます。
山口研究室
宇宙核物理
宇宙において星が輝き、超新星などの爆発現象が起こるメカニズムは、原子の中の小さな原子核の働きによって説明できます。 大きな宇宙に浮かぶ天体と、微小な原子核を結びつける研究分野が「宇宙核物理」です。 宇宙核物理の一つの大きな目的は、我々の住む地球や生物の体を構成している元素が一体どこでどうやって 作られたのかという根本的な疑問に答えることです。ビッグバンから3分後、宇宙の温度は原子核反応が起こる温度領域まで冷え、 最初の元素合成が起こります。 その後宇宙には多くの星が生まれ、その中で軽い元素から重い元素が生成されてきましたが、 星の誕生から終焉までの運命を支配しているのは主に原子核の力です。
天体の中で起こる重要な核反応は、星の観測のみでは理解できませんので、 加速器を使った核反応測定が盛んにおこなわれ、理解が進んできました。 しかし、天体の中の莫大な数の原子が高密度で存在している状況を、地上の加速器実験でシミュレートするのは容易ではありません。 困難の主な理由は、天体温度に相当するエネルギーが、加速器や核物理の典型的なエネルギーと比べて低いこと、 それに、爆発天体の中では、地上では通常存在しないような「不安定核」が大きな役割を果たす場合があることです。
山口研究室/ 宇宙核物理グループでは、爆発天体温度の不安定核ビームを生成できるユニークな装置「CRIB」を使って、 世界の研究者と共に、様々な宇宙の謎の解明に取り組んでいます。宇宙で最初の元素合成、ビッグバン元素合成には、 観測されているリチウム元素の存在量を現在の理論モデルで説明できないという大きな問題があります。また、 宇宙で頻繁に起こる爆発現象、X線バーストにおいて、陽子過剰の元素合成(rp-process)がどのように進行するかには 不定性が大きく、X線バーストの光量の再現を難しくしています。銀河からくるアルミニウム-26原子核由来 のガンマ線は大量に観測されていますが、どのような天体がその源となっているかは明らかではありません。 山口研究室はこのような多様な問題に取り組み、重要な成果を挙げつつあります。
世界的にも宇宙核物理は核物理研究の一大テーマとなっており、山口研究室は日本に軸を置きながら、 きわめて国際的な研究環境の中で、ユニークな研究を推進しています。
今井研究室
Dynamics Of Nuclear quanTUm System 核ダイナミクス研究室
現在存在が確認されている原子核は3000個あり、理論では更に3000個存在すると言われています。 これらの原子核の殆どは放射性同位体で、強い相互作用では束縛しますが、弱い相互作用では 崩壊します。世界中で10を超えるこれら放射性同位体を研究する施設が稼動しており、熾烈な競争状態にあります。 我々は、世界でもユニークな実験設備である低速化装置OEDO+磁気分析器SHARAQのホスト研究室として、 世界中のユーザーと共に有限量子多体系での核子の自己組織化機構の解明を目指して、日々研究を 推進しています。
特に、変形共存、エキゾチック変形、BEC-BCSクロスオーバー現象といった、近年明らかになってきた新奇 現象を実験的に調べています。また、中性子過剰な原子核の中性子捕獲反応断面積を評価することで、 重い元素の起源天体について微視的に調べています。これら研究を可能にする、γ線検出器、スト リップ型のシリコン半導体検出器を用いた反跳粒子検出器、薄型ダイヤモンド検出器の開発も進めています。
New cool posts
2020/05/01 研究室webに移行。
2020/03/ 北村さんが博士論文”Nuclear structure at the border of the island of inversion: in-beam γ-ray spectroscopy of 30Mg"で博士号を取得。
下浦研究室
極限原子核
2 種類のフェルミ粒子(陽子・中性子)で構成される原子核の本質を理解するため、安定な原子核に比べ陽子数と中性子数の比がアンバランスな原子核を二次ビームとした核反応実験により調べています。 入射エネルギーや標的の種類に対応した核反応の選択則を駆使し、魔法数の変化や励起モードの探査・分析により、原子核世界の本質の解明をめざしています。 高分解能ガンマ線検出器GRAPE、高分解能磁気分析装置 SHARAQ、および新しい手法を用いたRI ビーム減速装置 OEDO を開発しています。
来年度から大学院生は募集しません。
