クォーク物理
現在の素粒子・原子核物理学の標準模型を構成する理論の一つである「量子色力学(QCD)」によると、 強い相互作用をおこなう粒子(ハドロン)の集まりは、高温(150-200 MeV)の極限条件下ではクォークとグルーオンが主体となる新しい物質相「クォーク・グルーオン・プラズマ」(QGP)へ相転移することが予想されています。 このクォークグルーオンプラズマはビッグバン直後の火の玉宇宙そのものです。 このクォークグルーオンプラズマを実験室において実現する唯一の方法が高エネルギー重イオン衝突実験です。 米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)の相対論的重イオン加速器(RHIC)や欧州素粒子原子核研究所(CERN)の大ハドロン加速器(LHC)を用いた高エネルギー重イオン衝突実験が行われています。
クォーク物理グループは、RHICやLHC加速器を用いて、高エネルギー重イオン衝突実験を行い、
- クォークグルーオンプラズマの実証
- 高温クォーク多体系が持つ素粒子物性、非摂動的な領域での量子色力学の精密検証
- QCD物質の相構造の解明
- ビッグバン後の宇宙初期に見られたQCD相転移の理解(カイラル相転移やクォークの質量獲得の解明、ハドロンへの閉じ込め機構の理解)
クォークやグルーオン単体の動力学は、量子色力学で記述できますが、その”素”がたくさん集まることによって発現する新しい物質状態や新しい性質の発見を目指しています。
そこには理論も予想し難い、非常に面白い物理が隠れています。
クォークグルーオンプラズマ
QCD物質の相構造
高エネルギー重イオン衝突
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